外国人配偶者の在留資格を変更する場合
就労ビザや留学ビザから配偶者ビザへ変更の手続きは在留資格変更許可申請と呼ぶこと説明している女性行政書士のイラスト。
就労ビザや留学ビザを持っている外国人と結婚して、パートナーのビザを配偶者ビザに変更する場合。
ビザを変更する手続きは在留資格変更許可申請と言います。
在留資格変更許可申請
入管法20条に定められた手続きです。
在留資格を有する外国人が日本での滞在目的を変更して別の活動を行う際に、法務大臣にたいして在留資格の変更許可申請を行います。
これを行うと日本から一旦出国する必要なく新しい活動ができるようになります。
対象者は有効な在留資格を持って滞在する中長期滞在者と呼ばれる外国人です。
変更は法務大臣が相当と認める場合に限り許可できるとあり、確実に許可が出るものではありません。
日本国内で国際結婚してビザの変更で多いケース。
留学生が日本人と結婚して、
留学ビザから日本人等の配偶者等へ
日本で就労ビザをもって働く人が日本人と国際結婚して、
就労ビザから日本人等の配偶者等へ
日本人と結婚していた人が離婚して、再度日本人と結婚して、
日本人の配偶者等から日本人等の配偶者へ
(これは変更ではありませんが、手続きは変更と同様の審査を受けます。)
在留資格を変更する時期。
在留資格変更許可申請は外国人の活動内容が変わった段階で、ビザを変更することを紹介する行政書士の画像。
基本的に特別な事情がない限り、速やかに行う必要があります。
この場合、元の在留資格の期間が残っていても変更する必要があります。
変更が遅れれば遅れるほどに、次回の申請のハードルが上がります。
また就労系のビザなら3か月、身分系(結婚など)は6か月間、その活動をしていないと在留資格取り消しリスクがあります。
留学から日本人の配偶者等への変更
留学ビザから結婚ビザへ変更する場合、留学生の成績や出席状況で難易度が変わることを女性行政書士が説明するイラスト。
日本学校や大学・専門学校中に交際して結婚したケースですね。
留学ビザから結婚ビザに変更することになります。
留学ビザからの在留資格変更許可申請は難易度にバラつきがあります。
・学校を卒業しているか?
・学校を中退して結婚するのか?
・中退する場合、成績や出席状況は?
・28時間以上アルバイトをしている?
留学生の状況によって4パターンに分類されます。
学校をきちんと卒業してから結婚ビザを取得するのが一番ハードルが低くなります。
留学生としての活動を全うした後で変更するので問題がないですね。。
大変なのは、成績不振で中退して国際結婚したケースです。
結婚した留学生の学生生活に問題がある場合も同様です。
・学校に出席した回数が少なかったり(欠席率が高い)。
・資格外活動許可がないのにアルバイトをしていた。
・許可は取っていたけど、週に28時間以上のバイトをしていた。
出入国在留管理局の審査は厳しくなり、不許可のリスクも高くなります。
入管はこのような疑問を抱きながら審査していきます。
・勉強したくないから結婚したのか?
・成績不良で除籍されたら留学ビザが切れて日本に居られなくなるから結婚したのか?
・仕事をしたいから結婚ビザが欲しいのか?
マイナス面がある場合は、マイナスを打ち消せるだけの書類が必要です。
卒業して結婚した場合よりも大量の書類を提出することになります。
まずは交際の信ぴょう性を裏付ける写真やlineなどの記録を提出します。
通学していた学校の教師と進路相談した時の記録や学校を辞めた経緯などを記した書面なども有効になることがあります。
あとは28時間以下のアルバイトであることを証明するために、バイト先の給与明細を提出することもありますね。
要は今回のビザ変更が留学生活とは別次元の話であることを審査官に強く印象付けることです。
それでもダメな場合は…
一度出国して、在留資格を一旦リセットして、再び夫・妻を呼び寄せる方法になります。。
留学生が28時間以上アルバイトをしていた場合
アルバイトをやり過ぎてる場合もビザ変更は厳しくなります。
28時間を超えたアルバイトは資格外活動違反なので、一発で変更許可が出ることは稀です。
(大抵は帰国して、もう一度呼び寄せる形になります。)
バイトのやり過ぎがどこでバレるかと言うと…
留学生の納税証明書の収入金額で発覚することが多いです。
例えば納税証明書の収入金額が200万円を超えているとします。
時給1000円とした場合、ほぼフルタイムで働かないと年収200万円は達成できない数字です。
時給1000円で28時間フルで働いた場合、年収は134万円程度に収まります。
留学生が扶養される場合は、納税証明書などの添付は不要になっていますが…
提出しないと入管局から資料提出通知書が送られてきます。
資料提出通知書を無視すると不許可になります。
なので実質上の必要書類です。
就労ビザから配偶者ビザへ変更する場合
技術・人文知識・国際業務など就労ビザから配偶者ビザに変更する場合は選択肢があることを説明する画像。
日本の会社等で働いている外国人が日本人と結婚した場合です。
多くの場合、就労ビザ「技術・人文・国際業務」の在留資格を保有しています。
結婚しても勤務先を辞めないなら、結婚しても配偶者ビザに変更しなくても違法ではないです。
入管法が資格外活動というのは報酬を得る就労活動を指します。
就労ビザを継続することも可能です。
多くの方は就労ビザから日本人の配偶者等のビザに変更しています。
就労系の在留資格と違い身分系ビザのメリットが大きいからです。
メリット
・就労の制限がなくなる。
・退職しても日本に居続けることが可能。
・独立して会社を設立する場合の手続きが容易(経営・管理ビザを取る必要がない。)。
・永住許可や帰化(日本国籍を取得する手続き)の条件が緩和される。
例えば結婚して、仕事量を減らす目的でパート・アルバイトに変えることも配偶者ビザなら問題なくできます。
就労ビザは正社員の雇用が原則なので、アルバイトではビザを維持できなくなります。
就労ビザを配偶者ビザに変更しない選択をする人も居ます。
外国人配偶者の方が独立心が強いケースですと、配偶者ビザに変えない人もおられます。
就労ビザのまま10年間の実績を積み上げて、就労→永住許可を目指す人も少なくないです。
特に5年の就労ビザを持っている人だと、配偶者ビザに変更すると1年の在留期間になるのでデメリットを感じる場合もあります。
また高度人材ビザなどの配偶者ビザよりも利点が多い在留資格を持つ方も同様ですね。
日本人の配偶者等の在留資格は、良くも悪くもパートナーの影響が非常に大きいです。
(配偶者と共に生きることを前提にしたビザなので。)
パートナーに全てを委ねることを潔しとしない方にとっては、配偶者ビザはデメリットになる場合があります。
余計なお世話かもしれないですけど。
就労ビザからの変更をするかどうかは、夫婦でよく話し合う必要がありますね。
配偶者ビザから配偶者ビザへ変更する場合。
日本人の配偶者等の資格を持つ外戸籍の方が、離婚した後に日本人と再婚した場合の在留資格変更許可申請の審査について説明したイラスト。
上のタイトルは変換ミスではありません。
もともと日本人と結婚して「日本人の配偶者等」の資格を持っていた人が、離婚して別の日本人と結婚した場合です。
入管法の原則で行けば、
離婚後に帰国→在留資格認定証明書で呼び寄せ→再入国。
このような流れになります。
在留資格の期限切れ直前に、再婚が成立した場合は在留資格更新申請となります。
再婚した方の活動自体は、同じなのでビザの変更ではなく延長手続きとなるのです。
しかしながら延長と言っても審査は新規と同様のレベルで行われます。
前回おりた許可は前の日本人配偶者との間での資格です。
今回の在留資格は、相手が違うので前提が変わっています。
審査で見られるポイント
ポイントは5項目あります。
・以前の婚姻状況(夫婦生活)と離婚に至るまでの状況
・前婚の期間・・・短すぎると不許可リスク(大)
・離婚後の滞在歴・・・どうやって生活していた?
・新配偶者との出会いから結婚~生活の状況・・・新規と同様。
・夫婦は同居しているか?
再婚した後のビザ更新は、全くの新規の結婚ビザよりもハードルが高くなっています。
前婚の状況や離婚後の滞在状況が審査項目に追加されます。
場合によっては離婚後の状況次第では在留資格取り消しリスクが発生します。
離婚してからの期間が長期間になれば、在留資格の申請に不利になっていきます。
別居している場合は慎重な対応が必要です。
別居婚だと特別な理由がないと配偶者ビザが厳しくなる可能性を行政書士が紹介したイラスト。
配偶者ビザは夫婦が同居していることが原則です。
相談者や依頼者からも入管局は頭が固いと言われますが、そう言うものだと割り切るしかないです。
別居している場合は、その理由を出入国在留管理局に説明する必要があります。
なんの説明もなしに申請すると、更新が不許可で帰国準備のビザが下りてしまう可能性があります。
別居していることに合理的な理由があれば、在留資格は問題なく更新が可能です。
例えば、子供の教育環境の為に単身赴任しているなど。
関連記事:国際結婚で別居していると配偶者ビザの許可が下りないかも
配偶者ビザ変更での共通事項。
留学・就労・再婚で日本人の配偶者等に変更する際の共通のポイント。
・配偶者との出会い。
・交際に至るまでの経緯。
・結婚式や親族紹介。
・現在の結婚生活。
結婚ビザで問われる婚姻の真実性、婚姻生活の安定性と継続性ですね。
この部分は新規も更新も変更も全く変わらないです。