日本人の婚姻要件具備証明書の取得方法
日本人が海外の役所に提出する具備証明書について説明する女性行政書士のイラスト。
ここから、日本人の婚姻要件具備証明書の取得方法などをご紹介します。
証明書は市区町村役場と法務局、外国にある日本大使館で取得が可能です。
実務上は法務局か日本大使館で取得することになります。
(多くの国で法務局か大使館発行の証明書を要求されるため)
例えば中国の役所は法務局発行の婚姻要件具備証明書を要求しています。
必要書類は法務局と各国にある大使館で微妙に異なりますので、事前に問い合わせする必要があります。
例えば在タイ日本大使館だと収入証明書が必要だったりします。
よその国では収入証明まで要求されないことが多いです。
法務局で証明書を取得することをお勧めします。
外国人配偶者の母国の現地にある日本大使館でも、婚姻要件具備証明書が取得可能です。
法務局で取得した書類は、東京とにしかない外務省の認証を受ける必要があるなど、手間が非常にかかります。
それでも法務局での取得のほうが良い場合が多いです。
理由は現地の大使館の場合、万が一、書類不足や不備があって具備証が入手できないリスクが存在します。
大使館で取得できなければ、日本に戻って書類を準備しなおすか、法務局で証明書を取る必要が出てきます。
国際結婚のスケジュールも大幅に遅れてしまいます。
忙しい人の場合、次に現地で結婚手続きが出来るのは数か月、半年、1年後になる可能性があります。
国によっては日本大使館のものを要求されることがあります。事前に確認しておく必要があります。
法務局で婚姻要件具備証明書を取得する場合
法務局の本局、支局で発行を受けることが可能です。
区役所でも入手可能ですけども、
中国など法務局のものしかダメという国も多いので、法務局で発行されたものを用意するのがベターです。
取得方法は法務局に出向いて、必要事項を記入した申請書と戸籍や免許証などを一緒に提出することで入手が可能です。
婚姻要件具備証明書の申請書
申込書の特徴は、自分の情報だけでなく外国人パートナーの氏名や生年月日、性別や国籍などの情報を記入する必要があるところです。
この部分を適当に書くと、後の婚姻届を提出する際に面倒なことになる可能性があります。
法務局に提出する書類
基本的には本人確認書類と戸籍があれば大丈夫です。
・請求者(日本人)の戸籍謄本・抄本
・日本人のパスポートor運転免許証(本人確認書類)
・認印
参考までに法務局のURLを掲載いたします。
http://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/table/QandA/all/104.html
請求する際の注意点が細かく記載されています。
訪問する予定の法務局で発行が可能かを事前に確認することをお勧めします。
有休をとって出張所に出向いて婚姻要件具備証明書を入手できなかった失敗談があります。
そして貴重な有休が消えて、一日余計に時間が掛かりました。
法務局の職員に
「出張所では出せません」と出張所の職員に
とりつく島もなく言われるのは、ちょっと凹みますよ。
外務省や外国の大使館の認証が必要です。
日本人の証明書には外務省と大使館の認証が必要なことを紹介する行政書士の画像。
法務局で取得した婚姻要件具備証明書は、そのままでは使用不可です。
必ず外務省や大使館の認証を受ける必要があります。
認証が必要な理由は、現地の役所では証明書が本物であるか確認する事が難しいからです。
提出した書類が本物であることを外務省や大使館が認めた書類なら、現地の役所も安心して受理することが可能になります。
認証の方法は二種類あります。
① 日本の外務省+本国の大使館(中国大使館など)
② 日本の外務省のみ
①の方法は一般的な認証方法で公印確認と呼ばれ、②の方法はアポスティーユと呼ばれる認証方法になります。
アポスティーユとは「外国公文書の認証を不要とする条約(略称:認証不要条約)」を締結した国同士では、本国の認証が不要になるものです。
条約締結国同士の場合のみ、アポスティーユの認証方式が可能です。
公印確認・アポスティーユについて(外務省のサイト)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000548.html
加盟国一覧や注意点は上記のサイトでご確認をお願いいたします。
外国人の婚姻要件具備証明書
外国人フィアンセが日本の区役所に提出する婚姻要件具備証明書について解説する女性行政書士の画像。
次は外国人パートナーが準備する婚姻要件具備証明書について。
これは日本方式の国際結婚で提出する書類です。
多くの場合は在日中国大使館やフィリピン大使館などの大使館で取得します。
必要書類や条件は国によって異なりますので、事前に大使館に確認することをお勧めします。
必要書類は、本国の出生証明書や在留カード、パスポートなどの本人確認書類が必要になります。
注意点は
・観光や親族・知人訪問などの短期滞在だと出ない場合がある。
・オーバースティなど非正規滞在者だと発行されない場合あり。
・そのそも婚姻要件具備証明書が存在しない国(意外と多い)の存在。
この様に証明書が発行されない場合があります。
婚姻要件具備証明書が入手できない場合の対応法
婚姻要件具備証明書が取得できない場合の対処法を紹介する行政書士のイラスト。
上記の注意点で取り上げたように、具備証が入手できない場合があります。
最初から具備証明書が無い国や不法滞在者には出さない大使館があります。
この場合は別の書類で代用することが可能です。
① 大使・領事の署名付きの宣誓書
② 外国の法規の抜粋と国籍・身分を証明する書類
これらで婚姻要件具備証明書の代用が可能な場合があります。
① 領事の面前での宣誓
まずは外国人パートナーが婚姻障害がないことの宣誓書について。
領事館の領事など、外国の法律で宣誓を受理する権限を持った人物の面前で、婚姻障害がないこと、婚姻要件を具備していることを宣誓します。
内容は
・結婚年齢に達している
・重婚ではないこと
・独身であること
・その他の婚姻の障害がない
これらを当事者が宣誓して、領事が署名(証明)した文書です。
また婚姻要件具備証明書が無い国の大使館に、宣誓をするための申請書があります。
宣誓書の例(ブラジル)
ブラジル大使館には婚姻要件具備証明書がありません。
その代わり、婚姻要件宣誓書と呼ばれる宣誓書が存在します。
領事館に成人の証人2名と当事者が出向いて宣誓を行います。
必要書類は
・申請書
・パスポート
・在留カード
・住民票
・ブラジル本国の書類
・手数料(1950円)
・証人の本人確認書類など
詳しくはブラジル領事館のウェブサイトでご確認ください。
http://nagoia.itamaraty.gov.br/ja/__rrrrrrr__.xml
② 外国の法規の抜粋と国籍・身分を証明する書類
もう一つの方法は、外国人パートナーの婚姻法と言った法規の抜粋と本人の国籍や身分を証明する書類で婚姻要件具備証明書の代用をする方法です。
法規の抜粋のポイントは、
・法規の出典の明示があること
・外国官憲が現行法であることを証明したもの
この何れかを満たす必要があります。
抜粋した法律が本当に、その国のものであるか、現在も有効な法律であるかを証明する必要があります。
外国人の国籍や身分を証明する書類
・母国の役所が発行した身分証明書
・パスポート
・戸籍謄本(台湾など)
法規の抜粋と国籍・身分証明書での受理は、非常に特殊な方法になります。
この方式で提出する場合は、必ず提出先の市役所などに事前確認をお願いいたします。
法規の抜粋の場合は、高確率で書類が法務局に回されます。
受理伺い扱いになって、時間が非常に掛かることをご承知ください。
参考文献:富山県富山市の国際結婚の受付
http://www.city.toyama.toyama.jp/data/open/cnt/3/2822/1/gaikokujin.pdf
このリンクをタップするとPDFがダウンロードされますので、ご注意ください。
婚姻要件具備証明書と宣誓書の両方が必要なケース
婚姻要件具備証明書と領事官の証明が必要な場合を紹介する女性行政書士のイラスト。
区役所で国際結婚の手続きでは、具備証か宣誓書の何れかを提出するのが普通です。
国によっては、婚姻要件具備証明書と領事官の証明の2種類が必要な場合があります。
これが成立する要件は
・法的に重婚(一夫多妻制度)が認められている。
・本国が独身証明書を発行していない。
この二つの条件が揃った場合には、具備証明書と宣誓書の二つが必要になります。
サウジアラビアがこれに該当します。
サウジアラビアは一夫多妻制度が法的に認められています。
妻が4人以下であることがサウジアラビア男性の婚姻要件です。
サウジアラビア王国人が既婚者でも、婚姻要件具備証明書が発行されてしまいます。
対する日本は重婚禁止の一夫一妻制度をとります。
重婚禁止は国際結婚のパートナーにも適用されます。
区役所側は具備証だけでは、日本側の要件を満たしているか分かりません。
(独身証明書も必要になってきます。)
しかし・・・
サウジアラビアは独身証明書を発行していない国です。
なので日本で創設的届出をする場合には、独身であることの宣誓書が必要になると言う訳です。
かなりレアな事例です。
ちょっとしたトリビアってヤツですね。
外国の書類には翻訳文の添付が必要です。
日本の区役所や外国の役所に、外国語の書類を提出する場合には、提出先の言語に翻訳した翻訳文を添付する必要があります。
翻訳者は翻訳できる人なら、誰でも大丈夫です。
翻訳文の下部に翻訳者の署名と連絡先を記入する必要があります。
大使館や役所で翻訳文を付けてくれるサービスがある国もあります。
この場合は役所の翻訳文を提出することをお勧めします。
ベトナムの場合は、大使館の翻訳サービスを利用することをお勧めします。
ベトナム語の翻訳が出来る人が少ないことと、翻訳文が微妙にケースが多いです。
大使館での翻訳も微妙な文書になることがありますが…
在日ベトナム大使館が作った書類なので、提出先もキチンと受理してくれます。
婚姻要件具備証明書とは
婚姻要件具備証明書について紹介する女性行政書士のイラスト。
ここからは婚姻要件具備証明書についての説明になります。
知らなくても手続き自体は問題ありませんので、ご興味のない方は読み飛ばして頂いても大丈夫です。
婚姻要件具備証明書とは、
文字通り、結婚する人の「婚姻要件」が備わっている「具備」ことを「証明」する書類のことです。
結婚する場合には、法律で決められた条件を全部満たしている必要があります。
さらに婚姻条件は国ごとに異なっています。
例えば日本人ならば男性が18歳以上、女性が16歳以上など。
中国本土なら男性が22歳以上、女性が20歳以上。
同じ中国でも香港やマカオの場合は男女ともに16歳以上。
この様に国や地域ごとに結婚できる要件が異なっているのが分かります。
なぜ婚姻要件具備証明書が必要なのか
国際結婚手続きで証明書が求められる理由を紹介する行政書士の画像。
国際結婚する場合、日本や外国の役所で大抵、この具備証の提出を求められます。
理由は証明書がなければ、
・婚約者の状況が分からない
・区役所の業務がパンクする
具備証が無ければ、区役所(双方の国)は、外国人が婚姻要件を備えていることを調査する必要に迫られます。
調査する項目は以下の通りです。
① 外国人当事者の国籍と居住地
② 所属国の婚姻法や婚姻要件
③ 本人の身分関係(年齢や独身であるか等)
これらを調べるために外国の文献や上級官庁(法務省、外務省)もしくは大使館などに問い合わせる事になります。
①から③の項目を国際結婚するカップル全員分、調査するのは事実上不可能です。
(1件あたり数か月もかかる仕事を大量に抱え込むことになる。)
役所の負担を減らすために、当事者に自分たちが条件を満たしている事を証明させるのです。
用意する書類は、本国の官憲が発行した物である必要があります。
(国やそれに準ずる機関が太鼓判を押した書類)
ちなみに本国の官憲とは、官公庁やそれに準ずる機関のことを指します。
大使館や領事館、裁判官、警察、弁護士や公証人、牧師(宗教国の場合)などが該当します。
独身証明書≠婚姻要件具備証明書
具備証明書とよく似た書類に独身証明書というものがあります。
同じような書類に思えます。
独身証明書は婚姻要件具備証明書の代わりにはなりません。
結婚は独身であるだけでは、要件を具備しているとは限らないからです。
年齢や近親婚、待婚期間、精神病やHIVなどの病気、収入や宗教など、色々な条件が存在します。
あくまで独身証明書は独身であることを証明した書類に過ぎません。
極端な話だと、0歳児でも独身証明書は発行が可能です。
結婚年齢を満たしていなくても、独身証明書が出てしまいます。