ベトナム人と国際結婚する場合の婚姻手続き
ベトナム人と国際結婚するには、二つの国で手続きが必要だと説明する女性行政書士のイラスト。
このコンテンツでは、ベトナム人と日本人が国際結婚する場合の婚姻手続きの流れや必要書類、注意点やポイントをご紹介します。
日本人とベトナム国籍のパートナーが結婚する場合には、日本・ベトナムの双方の役所にて婚姻手続きが必要になります。
手続きの順番は日本の区役所からでも、ベトナムの役所からでも自由です。
お二人の状況に合わせて選択してください。
注意点はベトナム方式(ベトナムで創設的届出)する場合は、日本人もベトナム人と同様の結婚条件を満たす必要があります。
また日本とベトナムでは、婚姻要件が異なります。
手続きの前には双方の大使館に要確認を
当サイトでも細心の注意を払っておりますが、国際結婚の手続きは外国の政府や大使館が絡んでくる複雑な手続きです。
外国の役所は手続きの方法が頻繁に変更されます。
(例えば、法務局の面接が今は廃止されているなど)
また地域ごとのローカルルールが非常に強い傾向にあり、必要書類が聞いていたのと全然違うというトラブルもゼロではありません。
国際結婚の手続きを行う際には、日本とベトナムの大使館のウェブサイトを閲覧したり、直接問い合わせるなどして、最新の情報を得てから行ってください。
特にベトナム大使館は流動的です。
確認を怠ると手続きが進まないことも。
在日ベトナム大使館。
http://www.vnembassy-jp.org/ja
ベトナム大使館のウェブサイトを開くと音楽が流れます。
ご注意ください。
(ベトナム大使館のウェブサイトは難解です。
在ベトナム日本大使館
https://www.vn.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
ベトナム人の結婚要件など特徴
ベトナム人と日本人が結婚するときのポイントを紹介する行政書士の画像。
婚姻手続きを解説する前に、ベトナム人の結婚年齢などの条件や特徴をご紹介します。
まずは箇条書きです。
基本的な条件
・結婚年齢:男性満20歳以上、女性は満18歳以上。
・双方の自発的意思で決意されたものであること。
・婚姻当事者が民事訴訟能力を有する(制限能力者でない)
禁止事項
・重婚。
・直系血族で3代以内の同族間での結婚。
・養父母と養子間の婚姻。
・既婚者との結婚。
・同性婚も認められていない。
・ベトナムの出国や外国籍取得が目的の偽装結婚。
その他の特徴
・ベトナム人と日本人の国際結婚の情報は意外と少ない。
・ベトナムの行政機関は人民委員会。
・ベトナム大使館のウェブサイトは難解。
・ベトナムは夫婦別姓制度を採用。
・夫婦財産制度は法定と任意の契約制のいずれかを選択できる。
・国際結婚で求められた法務局の面接が廃止されている。
・精神病などの健康診断の結果が必要。
・婚姻証が発行されるのは、有効な書類が提出されてから15営業日以内。
参照元
平成 30 年度 法務省調査研究 請負
ベトナム社会主義共和国における身分関係法制・調査研究報告書より
http://www.moj.go.jp/content/001296707.pdf
注意:上記のURLをスマホでタップしますと、PDFがダウンロードされます。
ベトナム人の結婚年齢など
ベトナム人の結婚年齢は、日本人と異なります。
日本だと男が18歳以上、女が16歳以上ですが。
ベトナムは男性は満20歳以上で女性が満18歳以上となります。
ベトナム方式で結婚する場合は、日本人もベトナムの条件と一致しないと結婚手続きができない様になっています。
ベトナムでも同性婚はダメです。
日本と同様にベトナムでも同性婚は認められておりません。
正確にはベトナムの家族・婚姻法には同性婚に関する規定が2015年に廃止されました。
同性で結婚式を挙げても、罰金や取り締まりが無くなっただけです。
書かれていないけども、現実的にはベトナムでも認めておりません。
いつの日かはベトナムや日本でも、同性婚が認められる日が来るのかも知れません。
ベトナムから脱出するための結婚も禁止
ベトナム独自のルールですかね。
ベトナムを出国する為や外国籍を取得するための結婚も、法律上で禁止されています。
ちなみにベトナム人が外国に帰化する時の条件も結構厳しめです。
帰化禁止事項
・ベトナムに税金などの債務が残っている場合。
・ベトナムの個人や組織に借金が残っている場合。
・公務員や政党の幹部。
・ベトナム軍に従事している者。
・刑事事件を問われている者。
・行政処分を執行されている者。
・裁判の判決・決定を執行されている者。
帰化の条件が厳しめなのは、お国柄なのでしょうかね。
ベトナムの個人に負債がある場合もダメというのは、興味深い話です。
夫婦財産制は選択できる
ベトナムの結婚では、夫婦の権利や義務、財産に関して婚前に契約を結ぶことが可能です。
結婚前に夫婦で取り決めをして、決めたことを書面にして役所に公証してもらうことで有効になります。
また契約を結ばない場合は、ベトナムの法律で定められた夫婦財産制が採用されることになります。
日本方式でベトナム人と結婚する場合
日本の区役所から書類を走らせる方法を紹介する女性行政書士の画像。
ここからベトナム人と日本人が結婚する場合の手続きについてご紹介します。
まずは日本方式(日本の区役所で創設的届出)を行う場合から。
手続きの流れは以下の通りです。
① 在日ベトナム大使館・領事館
(ベトナム人の婚姻要件具備証明書を入手)
↓↓↓↓↓
② 日本の区役所
(婚姻届などを提出)
↓↓↓↓↓
③ 在日ベトナム大使館・領事館
(戸籍謄本などを添えて、報告的届出)
↓↓↓↓↓
④ ミッション・コンプリート
(日本方式での婚姻手続きは完了。)
日本方式で結婚する場合は、ベトナムの婚約者が技能実習生(外国人研修生)の場合が多いと思います。
技能実習生が配偶者ビザを取る場合のコンテンツは、こちらにございます。
ご興味のある方は、ご覧ください。
短期滞在で日本に来た場合、ベトナム大使館で婚姻要件具備証明書が発行されない。
日本方式で結婚される場合、注意点があります。
短期滞在で入国したベトナムの方は、実質的に日本方式で結婚手続きすることが出来ません。
(日本方式は日本で就労ビザなどを持っている人限定になります。)
短期滞在(知人訪問)で日本に入国した場合、ベトナム大使館は婚姻要件具備証明書を発行してくれません。
また日本の区役所は、基本的に大使館が発行した具備証明書しか受理してもらえないです。
日本の区役所で母国で発行された婚姻要件具備証明書が受理された場合ですが・・・
今度はベトナム大使館で、婚姻証明書を発行して貰えないです。
かなり厳しい対応です。
① ベトナム大使館で提出する書類
ベトナム人の婚姻要件具備証明書を入手するための必要書類です。
短期滞在(旅行・観光ビザ)のベトナム人には発行されないです。
ベトナム人が用意する書類
・出生証明書
・現住所証明書
・婚姻状況証明書
・パスポート
・人民証明書
日本人が用意する書類
・パスポート
・住民票
② 日本の区役所に提出する書類
ベトナム大使館の次は、日本の区役所で婚姻届を提出します。
日本人パートナーの戸籍に婚姻事実が記載された段階で、日本側の手続きが完了します。
日本人が用意する書類
・婚姻届
・戸籍謄本
ベトナム人が用意する書類
・①で入手した婚姻要件具備証明書
・婚姻要件具備証明書の和訳分
・パスポート
③ 在日ベトナム大使館・領事館
最後にベトナム大使館で、報告的届出をします。
大使館から婚姻証明を発行されれば、国際結婚手続きが完了します。
提出する書類
・戸籍謄本(婚姻事実が記載済み)
・婚姻届受理証明書
・夫婦のパスポート
ベトナムの各種書類の見本
ベトナム方式の結婚手続きに入る前に、ベトナムの出生証明書などの見本画像を紹介します。
見本画像はすべて法務省の調査研究結果より引用いたしました。
平成 30 年度 法務省調査研究 請負
ベトナム社会主義共和国における身分関係法制・調査研究報告書より
ベトナム人の出生証明書
ベトナムの出生証明書の見本画像。
証明書にはベトナムの地図が書かれています。
婚姻状況証明書
ベトナムの婚姻状況証明書の見本画像。
人民証明書9桁
人民証明書の裏表の画像です。
表面(上部)の白塗り部分には、顔写真が入ります。
裏面の二つの空白には指紋の写真が入ります。
人民証明書12桁
人民証明書のカードの画像。
表面(上部)の四角形の空白部分には、ベトナム人の顔写真が入ります。
裏面の四角形の白塗り部分には指紋の画像が入ります。
結婚証明書
ベトナムの婚姻証明書の見本画像。
全体的に赤色っぽくなっています。
右側に妻の情報が入り、左側に夫の情報が記入されます。
ベトナム方式での国際結婚手続
ベトナムで結婚するときの手続きを紹介する行政書士のイラスト。
次はベトナムの役所から手続きを開始する場合です。
まずは手続きの流れを紹介します。
① 在ベトナム日本大使館・領事館
(日本人の婚姻要件具備証明書を入手)
(日本の法務局で入手も可能)
↓↓↓↓↓
② ベトナムの人民委員会
(婚姻届などを提出)
↓↓↓↓↓
③ 在ベトナム日本大使館・領事館
日本の区役所
(婚姻証明書などを添えて、報告的届出)
↓↓↓↓↓
④ ミッション・コンプリート
(ベトナム方式での婚姻手続きは完了。)
以前はベトナムの法務局で二人の面接がありましたが、今は廃止されました。
あと人民委員会の前にベトナム政府がしてした病院(公立病院など)で精神病やHIVの健康診断が必要になります。
在ベトナム日本大使館で手続き
日本人の婚姻要件具備証明書を入手します。
必要書類
・申請書
・パスポート
・戸籍謄本または抄本(発行から3か月以内)
・外国人パートナーの身分証明書
(外国人婚姻予定者の氏名の挿入が必要な場合)
② ベトナムの人民委員会
大使館のイベントが終了すると、次はベトナムの人民委員会です。
人民委員会は日本でいう所の区役所の様な場所です。
日本人が用意する書類
・婚姻要件具備証明書
・パスポート
・精神病の健康診断書
・HIV・その他感染症の診断書
ベトナム人が用意する書類
・人民証明書
・その他、役所が指定した書類
日本大使館・日本の区役所
提出書類
・婚姻届
・婚姻証明書
・婚姻証明書の日本語訳。
・二人のパスポート
・ベトナム人のパスポートの和訳文。
・日本人の戸籍謄本
精神病の健康診断
ベトナム方式での国際結婚手続きには、ベトナムが指定した病院で精神病の問診を受ける必要があります。
大抵は公立病院で行われるます。
ベトナムでの国際結婚の経験者によると、問診にも価格別でのコースがあると聞きます。
特別料金のコースを選択すると、問診の時間や診断書の発行時間が短縮されるとか。
問診の内容自体は、簡単な日常会話(英語)で行われます。
あとがき
ここまでベトナム人と日本人の国際結婚手続きについて、ご紹介いたしました。
ベトナム人との国際結婚の情報は、非常に少ないのが現実です。
中国や韓国、フィリピンなどの場合は、体験談の件数や解説する専門家のサイトの数が多いですが。
さらにベトナム大使館の情報は、お世辞にも読みやすいとは言えません。
管理人も一読しただけでは、何が書かれているのか理解できませんでした。
この記事がベトナム籍の方と国際結婚する際に、参考になれば幸いです。
国際結婚の手続きが終わって、日本で一緒に生活する場合は配偶者ビザの手続きが必要になります。当サイトでも配偶者ビザに関しての解説も掲載しております。
ご興味のある方は、そちらの記事もご覧になってください。
ここまで、ご覧いただき有難うございました。